プラス思考で、ガンと生きる日々

脳腫瘍・肺がん治療、そして時々「街日記」

分子標的抗がん薬による、現在の肺がん治療

こんばんは。

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さて、自分ががんと診断されるまで、抗がん薬については、非常に苦しい副作用にたえる悲惨な状況という認識しかありませんでした。でも、ここ10~20年ぐらいで、分子生物学的な解明がどんどん進み、現在、肺がんでは、4割以上が、この分子標的薬を中心とする治療が行われているそうです。

昔は、病気に対して、個体や臓器を対象としていたのが、組織から細胞へ、さらに分子・遺伝子となり、より緻密で、効果的な治療法が編み出されているわけですね。

開発には、様々な犠牲もあることを思うと複雑な気持ちですが、しかし、研究者の方たちの力には敬意を表さずにはいられません。

従来の抗がん薬

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従来の抗がん薬は、がん細胞でなくても、増殖・分裂がさかんな細胞であれば、正常細胞をも攻撃してしまいます。使用量を増やせば、効果は大きくなりますが、副作用も大きくなってしまいます。重い副作用に苦しまないといけません。私が持っていたがん治療のイメージは、まさにこれだったと思います。

分子標的抗がん薬

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2000年代以降に登場した分子標的抗がん薬は、がんの増殖や浸潤・転移を、細胞そのものでなく、分子・遺伝子レベルで考えて開発された薬剤です。がん細胞だけを狙って攻撃するので、正常細胞への影響は少ないです。副作用に関しては、それぞれの薬剤で特徴的なものが出ますが、一般に従来の抗がん剤に比べると、副作用は軽いと言えます。

ただ、この分子標的抗がん薬は、ピンポイントであるがゆえに、1つの薬剤が誰に対しても効くというわけではありません。たとえば、輸血でも、血液型によって、輸血できるかできないかが決まります。分子標的抗がん薬は、遺伝子型によって、薬が効くかどうかが決まります。それを調べる薬をコンパニオン診断薬というそうです。

 私の場合

検査の結果、EGFR(ヒト上皮成長因子受容体)遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんでした。非小細胞肺がんの細胞表面には、EGFRと呼ばれるタンパク質がたくさんあり、このEGFRはがん細胞が増殖するのに必要な信号を伝える役割を担っています。EGFRのチロシンキナーゼという部位に変異が発現すると、増殖のスイッチが入り続けた状態となり、がんが増殖し続けます。このEGFRチロシンキナーゼの働きを阻害する、タグリッソが有効ということになります。

アストラゼネカの「タグリッソについてのページ」です。EGFRのことが、イラストで説明してあって、とてもわかりやすかったです。

www.tagrisso.jp

しばらくは、タグリッソのお世話になることになります。色々調べたからといって、肺がんステージ4が覆るわけではないですが、受け身になっているだけよりもいいのかな、と思っています。