プラス思考で、ガンと生きる日々

脳腫瘍・肺がん治療、そして時々「街日記」

がん治療のための医療費をどうするか

実は最近、お金の計算ばかりしています。

転移性脳腫瘍で入院中は、失語症だったし、簡単な計算もできなかったし、手術終了後も日常生活に戻るのが精一杯で、お金のことを考えるどころではありませんでした。しかし、仕事も辞めてしまって、抗がん剤治療が続く今、お金のことに目をつぶれない状況というか……やはり大変です。

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病気になる前は、「稼ぐに追いつく貧乏なし」とか、「領収書なんて、とっておく必要ないよ、邪魔になるし」とか「高額医療費なんて他人事、健康保険なんて高くとられるだけ」などと思っていましたが、「仕事の収入がないにもかかわらず、多額の医療費がかかる」状況に置かれて、今さらながら、社会保障制度のありがたみを感じています。

この小冊子、病院の化学療法室の待合に置いてあったものですが、とても参考になりました。

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今回は、まず高額医療制度です。

高額医療制度

病院でかかるお金について、できるだけ家計を圧迫しないようにするために、どんな制度があるか、まとめてみたいと思います。……などと偉そうに言っていますが、本当に知らないことばかりの分野で、最初は何もわかりませんでした。

入院中は、家族が手続きの用紙を持ってきてくれたり、ソーシャルワーカーさんが色々教えてくれたり、とても助かりました。不安になってばかりではなくて、聞いてみることは、大事なことだと思います。

高額医療制度概要

ふだんから医療費は、健康保険を使って、3割負担などになっています。しかし、手術や抗がん剤などで、医療費が非常に高額になってしまい、3割負担だとしても大変すぎる、という場合、この「高額医療制度」はとても助かります。簡単に言ってしまえば、医療費定額制のようなものでしょうか。医療費が非常に高額になった時も、自己負担限度額まで支払えばOKということになります。

自己負担限度額は、年齢や所得によって変わってきます。

高額な医療費を支払ったとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会

自分の場合をもとにざっくりまとめると、

たとえば、2021年1月、

病院の診察代が81,800円 →その3割負担で、24,540円

抗がん剤タグリッソ30錠分 これ以前にも書いたように、とてもお高い薬です。 

20,719円(1錠)×30=621,570円 →その3割負担で、186,471円

合計で、211,011円。完璧に準備できている方なら、気にならない金額なのかもしれないですが、私の場合、1ヶ月に211,011円の医療費!!

これはもう「払えません」「生活できません」「この治療はあきらめます」ということになってしまいます。これが、高額医療制度を使うと、自己負担限度額の8万数千円で済むということになります。用紙を記入して申請し、「限度額適用認定証」というものをあらかじめもらっておくと、病院窓口では、自動計算されて、自己負担限度額まで払えばOKとなり、便利です。

ただ、この医療費、何でも合算できてしまうわけではなく、なかなかややこしいです。また、自動計算もあくまで同じ病院でのことなので、それ以外は、医療費の自己管理が必要だと思います。

高額医療制度、自己負担限度額の計算方法をざっくりと

・月の1日~末日までで計算する。

・同じ病院でも、入院と外来は別。合算できない。

・複数の病院にかかった場合、自己負担額21,000円以上のものだけが合算できる。(70歳未満の場合)

・院外処方箋による薬剤費は合算できる。

・あくまで公的医療保険適用内に限る。差額ベッド代などは合算できない。

だから私の場合、脳腫瘍や肺がん以外に、リウマチで、以前から他の病院にかかっているのですが、21,000円以上にならなければ、合算対象ではなく、普通に支払うということになってしまいます。合算できる分で、払いすぎている場合(院外処方で、高額な抗がん剤などを薬局で購入という時にありがちです)は、あとで返金されるので、自分なりにお金の計算をしておくことと、領収書の保存は必須ということになります。

さて、高額医療制度を使って、自己負担額が8万数千円になったとしても、これがずっと続いてはやはり大変です。

高額医療制度には、そういう場合に「多数回該当」という、ありがたいしくみがあります。

高額医療制度 多数回該当

自己負担額が、過去1年以内に3回以上、高額療養費に該当していた場合、4回目からは自己負担額が少なくなるしくみです。私の場合だと、自己負担限度額が8万数千円だったのが、44,000円、つまり半分くらいになります。

患者としてはありがたいけれど

日本の社会保障制度って、なかなか充実してるのでは?と、偉そうに思ってしまいました。社会保障制度のおかげで、治療を続けることができてますって感じです。

ただ、今自分が「高額な薬を服用するがん患者」という立場なので、そんなふうにも思うのですが、視点を変えて見れば、高価な抗がん剤治療が、高齢者医療と共に、社会保障制度の存続自体を圧迫していることにもなるわけで……

難しい問題ですね。

患者としては、1ヶ月に約70万円以上かかる分子標的薬タグリッソの治療が、自己負担限度額8万数千円、多数回該当を使えば44,000円でできるというのは幸せなんですが。免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボなんて、もっと高いと聞きますし。

次回は、「傷病手当金」について書きたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。