プラス思考で、ガンと生きる日々

脳腫瘍・肺がん治療、そして時々「街日記」

分子標的抗がん薬タグリッソ休止から1ヶ月

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秋も深まり、ずいぶん寒くなってきました。

写真は、先日訪れた、長野県蓼科湖畔の夕景です。

ついこのあいだまで、エアコンをかけていたのに、コタツが恋しくなり、ヒートテックを探したり…… 確実に季節は移り変わっていくのですね。

 

さて、2021年1月16日からずっと飲み続けてきた、分子標的薬タグリッソ、9月17日から休薬していて、現在はガンに関する薬は何も飲んでいません。

 

休薬が決まったとき(前々回の記事を書いたころ)は

meadow12.hateblo.jp

「抗がん剤をやめる→治療選択肢がなくなる→いよいよか~」っていう、憂鬱な気分がかなり大きかったのですが、休薬して約1ヶ月、むしろ全体的な体調は良いような気がします。

休薬して改善されたことを少しまとめてみます。

1 全身倦怠感が減りました。

「いつもだるくてたまらない」「すぐ寝てしまう」「何かやり始めても集中力が続かない」など、本当に悩みの種だったのですが、かなり良くなった気がします。タグリッソを休薬して1週間後くらいは、ほとんど変化もありませんでしたが、ここ2週間ほどは、相当身体が楽です。もちろん油断すると、相変わらずしんどいのですが。

2 皮膚の発疹など、皮膚症状がなくなりました。

3月ごろに一番ひどかった、ざ瘡様皮疹(ざそうようひしん)も、今は全くありません。ひどいときは、皮疹のできている面積も大きいし、痛いし、痕も汚いし、と、いいとこなしでした。鼻のなかにできたときも、気になるし、痛さも半端ないしで大変でしたが、今は何もできていません。ごく普通の皮膚です。ひどかったときにできてしまった痕も、相当目立たなくなりました。

3 髪の毛の違和感、不快感が減りました。

タグリッソのような分子標的薬は、ウィッグが必要なほどの脱毛はないけれど、ある程度は脱毛します。私の場合は、

・髪の毛を洗っても、ベタベタですっきりしない

・髪を洗うと、ごそっと抜けて、ちょっと気持ち悪い

・とくに夏至の頃の直射日光で、前髪が一気に白髪になった

・いわゆる「アホ毛」が異様に増える

などの不快感がありました。しかし薬をやめてから、白髪のように治らないものは仕方がないというものの、髪の毛がいつもベタベタとか、アホ毛だらけというのは、相当なくなったと思います。

タグリッソは、ガンの進行を抑えるために頑張ってくれていたと思うのですが、同時に、身体にかなりのダメージを与えていたことも否めません。

今のところ、タグリッソ休薬による、いわゆる肺がん症状の悪化は、自覚症状的にはありません。主治医の先生が言われたように、やめてしまってよかったかな、と思っています。

ただ、抗がん剤によって無理やりガンを小さくする、ということはしていないので、いつかは、症状が進んでいくのでしょう。

とはいえ、考えてみれば、この世に生まれてきた時点で、誰もが死に向かって歩き始めてるわけなので、そこまで深刻にならなくてもいいかな、という気もしています。

 

そういえば、中学受験の塾講師をやっていたころ、国語のテキストにこんな詩があったのを思い出しました。

 

初めての児(こ)に  吉野弘

 

おまえが生まれて間もない日。

 

禿鷹のように そのひとたちはやってきて

黒い革鞄のふたを あけたりしめたりした。

――生命保険の勧誘員だった。

 

(ずいぶん お耳がはやい)

私が驚いてみせると

そのひとたちは笑って答えた。

〈匂いが届きますから〉

 

顔の貌さえまださだまらぬ

やわらかなおまえの身体の

どこに

私は小さな死を

わけあたえたのだろう。

 

もう

かんばしい匂いを

ただよわせていたというではないか。

 

すごいですね。

すごい、というのは、この詩が、生と死の本質をついた非常に深い内容だということとともに、これを小学校5年生、6年生が読んで理解するということです。

中学受験の国語は、精神年齢の高さが要求されるとよく言われますが、たしかにそうですね。……仕事を辞めてしまって、早いもので1年近くなるけれど、生徒さんたちはみんな頑張っているんだろうな、と思います。

とりとめもないことを書きましたが、一番最初に受けた余命宣告のタイムリミットはもう過ぎようとしています。感謝、です。

とはいえ、「やりたいことがあるなら今のうち」と思い、コロナ禍もかなり落ち着いたようなので、ちょっと気分の良い今、出かけられそうであれば、出かけています。

次回からは、少し「旅日記」のようになるかもしれません。

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。