台風が通り過ぎた後だからでしょうか。外に出ると、秋の気配がする風。たしかに立秋も過ぎ、暦のうえでは、もう秋なんだなぁと、ふと思いました。
古今集に収録されている、まさにこの歌の感覚ですね。
秋きぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる(藤原敏行朝臣)
「秋たつ日よめる」つまり立秋の日に詠まれたというこの歌ですが、季節感を失いかけた現代人にも、繊細な感覚を思い起こさせてくれる素晴らしい歌だと思います。
病気になって退職するまでは、中学受験の塾講師をやっていたので、この時期は、毎年本当に忙しかったです。早朝からの夏期講習、そして、合格合宿、お盆特訓‥‥ ほんとにいっぱいあるんですよね。受験生の皆さんは、もちろん大変なのですが、先生側も、夏はもう体力の限界というか。
病気が原因なので、けっして良いことではないのですが、そうした例年の夏に比べて、今年はとてものんびりとした夏を送っています。病気でもなく、世の中がコロナ蔓延状態でなければ、人生最後の思い出に、と、旅行に出かけたりして、遊びまくると思うのですが、なかなか上手くいかないですね。
そうそう、塾の授業では、これもしつこく言ってました。
「朝顔は、夏の代表みたいな花だけど、俳句(季語)での季節は、秋だから、間違えないでね」
俳句の季語をまとめた歳時記では、朝顔の咲く頃は「秋」ということになります。新暦と旧暦、そしてこれまた、中学入試頻出の「二十四節気」は、簡単にまとめると、こんな感じでズレがあります。
たしかに朝顔は「秋」の花ですね。
(ちなみに、二十四節気の日にちは2021年のものです。立春が2月3日でした)
また理科的には、朝顔は、昼の時間が短くなる(→夜の時間が長くなる)とつぼみを作る代表的な短日植物です。
写真は、今年ベランダで咲いた朝顔です。去年の小さな鉢植えから種をとったものですが、かなり頑張って咲いてくれました。お世辞にも、立派とは言い難い種子でしたが、芽が出て、双葉が開き……という様子を毎日楽しみにしていました。
ベランダに置いてあったので、前のビルの照明が夜遅くまで眩しくて、つぼみがつくのか心配でしたが。
退職して8ヶ月、健康なら、夏期講習の時期なので、ついつい、勉強ネタみたいになってしまいました。
残暑に負けず、丁寧な日々の暮らしを心がけたいと思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。