前回、タグリッソの副作用についてまとめましたが、今日は、タグリッソのような分子標的抗がん薬によく見られる、皮膚障害について書いてみます。
チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)による皮膚障害
EGFR遺伝子陽性の非小細胞肺がんの治療には、チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)が使われることがあります。私が飲んでいる、オシメルチニブ(商品名タグリッソ)もその1つです。
分子標的抗がん薬は、がんの増殖や分化、転移に関わる特定の分子を標的としてピンポイントに働きかけます。ですから従来の抗がん薬に比べれば、副作用は少なく効率的とはいえるのですが、分子標的抗がん薬ならではの、違った形の副作用というのも出てくるわけです。
標的になる分子EGFRは、がん細胞だけでなく正常な皮膚や爪などにも見られるので、これらの組織もダメージを受け、皮膚障害が起こります。タグリッソのようなEGFR阻害薬では約90%に、皮膚障害があらわれるそうです。
タグリッソによる皮膚障害の種類
そう痒症、ざ瘡様皮疹や皮膚乾燥、爪の障害(爪囲炎:爪の周りの腫れや痛みなど)があります。タグリッソを飲み始めて、いちどきにこうした症状が現れるのではなく、下に示したグラフのように出てくるのが一般的らしいです。
今とくに苦しんでるのが、ざ瘡様皮疹ですが、遅れて出てくる爪囲炎というのが結構厄介らしく、ちょっと心配です。
私の場合、ざ瘡様皮疹の経過
2021.1.16
タグリッソ飲み始め。80mgで始める。
下痢の心配があるからと、ロペラミド(下痢止めの内服薬)もいただきましたが、そこまでひどい下痢にはならず、一度も使っていません。
2021.2.5
タグリッソを飲み始めて、3週目。タグリッソは80mgです。
おなかの下の方に、ぽつっとニキビのような発疹が…… 上のグラフと比較すると、少し症状が出てくるのが遅かったようです。
2021.2.6~2.25
タグリッソを飲み始めて、4~6週。80mgで飲み続けています。
発疹がどんどん増えてきました。とくに背中が多かったです。発疹と同時に身体もしんどくなってきました。
2021.2.26
診察日。発疹の様子から、タグリッソが半量(40mg)になりました。
皮膚の塗り薬として、
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏0.05
保湿剤として
ヘパリン類似物質油性クリーム
内服薬として
オロパタジン塩酸塩OD錠5mg
しかし、その後も状態は良くなることもなく、発疹は増えていくばかり。
2021.3.8
背中が痛くて痛くて、救急外来へ。SJSも疑われたり。
2021.3.9
昨日の救急外来に引き続き、皮膚科へ。皮膚科の薬がまた変わりました。
塗り薬 ダイアコートクリーム+オイラックスクリーム
内服薬 オロパタジン塩酸塩OD錠5mgに加え、ミノサイクリン塩酸塩錠50mg
2012.3.12
皮膚科・呼吸器内科へ
「発疹かなり出ているなぁ、休薬するか…… どうしようかなぁ」と呼吸器内科の先生もかなり迷われていたようですが、結局、あと1週間は、タグリッソ40mgで続けてみるということになりました。
ということで、今日も、朝からいっぱい薬を飲んで、いっぱい薬を塗って、という生活が続いています。なんだかなぁ~って感じです。
でも、分子標的抗がん薬については、副作用が出ているということは、薬が効いているということらしいので、うまく副作用とつきあって、抗がん剤を長く続けることが大事らしいのですが。
それにしても、薬、多くないですか、自分でもちょっとうんざりです。